空き家になった実家を貸そうと考えたとき、多くの方が悩むのが「先にリフォームすべきかどうか」です。
古いキッチン、傷んだ床、古いお風呂、使えるかわからない給湯器。人に貸すならきれいにしなければいけないと感じる一方で、どこまで費用をかけるべきかは判断が難しいところです。
実家を貸す前のリフォームは、必要な場合もあります。ただし、入居者が決まる前に大きな費用をかけすぎると、家賃収入で回収しにくくなることもあります。
この記事では、実家を貸す前にリフォームが必要かどうかを考えるために、確認すべきポイント、費用をかける前に見るべきこと、やらなくてもよい工事を整理します。
実家を貸す前に、必ずリフォームが必要とは限らない
実家を人に貸す場合、最低限安全に住める状態であることは必要です。
ただし、「古いから全部リフォームしなければならない」と考える必要はありません。物件の立地、想定家賃、入居者層、建物の状態によって、必要な工事は変わります。
大切なのは、リフォーム費用をかけた分だけ家賃や入居のしやすさに反映されるかを考えることです。
先に考えたいこと
- 周辺に賃貸需要があるか
- どのくらいの家賃が見込めるか
- 入居者は単身者か、ファミリーか
- 築年数や建物の状態はどうか
- 最低限の修繕で貸せるか
- リフォーム費用を何年で回収できそうか
賃貸需要が弱いエリアで高額なリフォームをしても、家賃で回収できない可能性があります。
まずは、リフォーム会社ではなく、不動産会社や賃貸管理会社に「この状態で貸せるか」「いくらくらいの家賃が見込めるか」を確認するのが現実的です。
まず確認すべきは「貸せる需要」があるか
リフォームを考える前に、まず確認したいのは賃貸需要です。
どれだけきれいにリフォームしても、その地域で借りたい人が少なければ、入居者探しは難しくなります。
賃貸需要を確認するポイント
- 周辺に賃貸物件があるか
- 近隣の家賃相場はいくらか
- 空室が多いエリアではないか
- 駅・バス停・学校・病院・スーパーが近いか
- 駐車場需要がある地域か
- 戸建て賃貸を探す人がいそうか
実家が戸建ての場合、マンションやアパートとは違うニーズがあることもあります。
たとえば、駐車場付きの戸建てを探すファミリー、ペット可物件を探す人、庭付き住宅を希望する人などです。
一方で、通勤・通学の利便性が低い地域では、リフォームしても借り手がつきにくい場合があります。
最低限必要になりやすい修繕
実家を貸す場合、見た目をきれいにする前に、まず安全性と生活に必要な設備を確認します。
入居者が安心して暮らせる状態でなければ、賃貸に出すことは難しくなります。
確認したい設備・箇所
| 確認箇所 | 見るポイント |
|---|---|
| 雨漏り | 天井・壁・屋根に雨漏り跡がないか |
| 給湯器 | お湯が出るか、使用年数が古すぎないか |
| 水回り | キッチン、浴室、洗面、トイレが使える状態か |
| 電気設備 | ブレーカー、コンセント、照明に問題がないか |
| 床・階段 | 沈み、きしみ、腐食、段差がないか |
| 窓・鍵 | 開閉できるか、防犯上の不安がないか |
| 外壁・屋根 | 落下や破損のおそれがないか |
これらは、見た目の印象よりも優先度が高い部分です。
壁紙や床をきれいにする前に、雨漏りや給湯器、水回りなど、生活に必要な部分を確認しましょう。
やった方がよいリフォーム
実家を貸す前に検討しやすいリフォームには、次のようなものがあります。
1. ハウスクリーニング
大がかりなリフォームをしなくても、清掃だけで印象が大きく変わることがあります。
特に、水回り、窓、床、玄関まわりは入居希望者の印象に影響しやすい場所です。
2. 壁紙・床の補修
汚れや破れが目立つ壁紙、傷みのある床は、必要に応じて補修を検討します。
ただし、全室を高額な仕様にする必要はありません。想定家賃に見合う範囲で考えることが大切です。
3. 水回りの最低限の修繕
水漏れ、排水不良、古すぎる便座、使いにくい蛇口などは、入居後のトラブルにつながることがあります。
新品に総入れ替えするのではなく、まずは安全に使える状態にすることを優先しましょう。
4. 鍵交換・防犯面の確認
賃貸に出す場合、鍵交換や防犯面の確認は重要です。
古い鍵のままだと、入居者に不安を与えることがあります。窓や玄関、勝手口の施錠状況も確認しましょう。
無理にやらなくてもよいリフォーム
一方で、賃貸に出す前に必ずしもやらなくてよいリフォームもあります。
1. 高額なフルリフォーム
キッチン、浴室、トイレ、床、壁、外壁まで一気に直すと、大きな費用がかかります。
家賃収入で回収するには長い期間が必要になることがあります。
まずは、想定家賃と回収期間を確認してから判断しましょう。
2. 自分好みの内装
貸す前のリフォームでは、所有者の好みよりも、幅広い人に受け入れられやすいシンプルな内装が向いています。
個性的すぎるデザインは、入居者層を狭める可能性があります。
3. 外構や庭の大規模工事
庭や外構をきれいにすると印象は良くなりますが、必ず家賃に反映されるとは限りません。
まずは、危険な箇所や近隣に迷惑がかかる部分を優先して整えましょう。
4. 入居者が決まってからでもよい工事
一部の設備や内装は、入居者の希望を聞いてから対応する方がよい場合もあります。
先にすべて決めてしまうより、必要最低限の状態で募集し、反応を見ながら判断する方法もあります。
リフォーム費用を家賃で回収できるか考える
リフォームを検討するときは、費用を家賃で回収できるかを考える必要があります。
たとえば、リフォームに200万円かけて、毎月の手残りが4万円増えるとしても、単純計算で回収には50か月以上かかります。
実際には、空室期間、修繕費、管理費、固定資産税などもあります。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| リフォーム費用 | 初期費用としていくらかかるか |
| 想定家賃 | 周辺相場から見ていくらで貸せそうか |
| 管理費 | 管理会社に委託する場合の費用 |
| 空室期間 | 入居者が決まらない期間をどう見るか |
| 追加修繕 | 入居後に設備故障が起きる可能性 |
| 回収期間 | 何年貸せば初期費用を回収できるか |
賃貸活用では、「家賃が入るか」だけでなく、「費用をかけた分をどのくらいで回収できるか」が重要です。
管理会社に相談してから判断する
リフォームを始める前に、賃貸管理会社や不動産会社に相談することも大切です。
貸すことを前提にする場合、管理会社は周辺家賃、入居者ニーズ、必要な修繕、募集条件を見たうえで、現実的な提案をしてくれることがあります。
相談時に聞きたいこと
- この状態で貸せる可能性はあるか
- 想定家賃はいくらくらいか
- 最低限必要な修繕はどこか
- やらなくてもよい工事は何か
- 入居者が重視しそうなポイントはどこか
- 管理委託料はいくらか
- 空室リスクをどう見ればよいか
リフォーム会社だけに相談すると、工事を前提に話が進むことがあります。
賃貸活用を目的にするなら、まず「貸せるか」「いくらで貸せるか」「何を直せばよいか」を賃貸目線で確認しましょう。
貸す前に売却も比較しておく
実家を貸す方向で考えている場合でも、売却した場合との比較はしておいた方がよいです。
修繕費をかけて貸すよりも、古家付きで売却した方が負担を減らせる場合もあります。
売却と比較したいポイント
- 今売った場合の想定価格
- 貸すための修繕費
- 想定家賃
- 空室リスク
- 管理の手間
- 固定資産税などの維持費
- 将来売却する場合の価格変動
賃貸に出すと、所有を続けることになります。将来売却する可能性がある場合は、貸した後の出口も考えておきましょう。
実家を貸す前の進め方
実家を貸す前にリフォームを検討する場合は、次の順番で進めると整理しやすくなります。
- 家族の意向を確認する
- 名義や相続登記の状況を確認する
- 荷物や重要書類を確認する
- 建物の状態を確認する
- 周辺の賃貸需要と家賃相場を調べる
- 管理会社や不動産会社に相談する
- 最低限必要な修繕を確認する
- リフォーム費用と家賃収入を比較する
- 売却した場合とも比較する
- 貸すか、売るか、保留するかを決める
いきなり工事を始めるのではなく、需要、収支、管理体制、家族の意向を確認してから判断しましょう。
まとめ:貸す前のリフォームは「必要最小限」から考える
実家を貸す前にリフォームが必要かどうかは、物件の状態や地域の賃貸需要によって変わります。
安全に住める状態にするための修繕は必要になることがありますが、高額なフルリフォームを先に行う必要があるとは限りません。
大切なのは、費用をかける前に次の点を確認することです。
- 周辺に賃貸需要があるか
- 想定家賃はいくらか
- 最低限必要な修繕はどこか
- リフォーム費用を家賃で回収できそうか
- 管理会社に任せられるか
- 売却した場合と比べてどうか
リフォームは、実家を貸すための有効な手段の一つですが、最初に決めるものではありません。
まずは、貸せる需要、必要な修繕、収支、将来の出口を整理したうえで判断しましょう。
なお、本記事は専門家にご相談いただく前の「考えの整理」を目的としたものであり、個別の不動産取引、税務、法務、建築・リフォーム上の判断を行うものではありません。最終的な判断は、宅地建物取引士、建築士、リフォーム会社、税理士、司法書士などの専門家にご相談ください。
